当日までに、想いを伝え切る!

 6月22日は、技能検定存続、最後のチャンスだと考えます。
 話し合いにご参加の皆さんで、決定されてしまいます。「もう、そんな理想言っても始まらない」「出来る事で、決定しよう」と、技能検定の存続を諦めると、最終試験の後、廃止が決定されます。
 技能検定は、国家資格です。技能検定に「メリットが無い」と考える人は、メリットにしなかった人です。技能検定に「得が無いから必要ない」と言う人は、資格に感謝が無い人です。名詞に一級技能士と印刷してるのではないですか?得を感じて無い、だけではないでしょうか。資格があれば仕事が増えるとか、資格に頼るプロの仕事に、何の魅力があるのでしょうか。
 私は、一級技能士として、誇りを持って生きてきました。技能グランプリに挑戦できたのも、講習会・月例会等で後継者育成に精が出せたのも、紳士服に携わる誇りと、業界への感謝があったからです。
 商売も大事です。生きる事は、大変です。
 若い人達には、国家資格の活かし方を考えてほしいのです。
 技能士は、名称独占型の国家資格です。技能士の”名称のみ”が、取得者に与えられる制度です。どのように活かすかは、業界と個人に任せられているのです。
 「メリットが無い」「得が無い」活かし方は・・・自分次第です。
 22日の私の持ち時間は、30分です。当日までに想いを伝え切るしか、成果は望めません。
 
 当日の、提出資料です。
『後継者育成』 紳士注文服業界では、工場縫製が主流となり、一人縫い職人の仕事は少なくなりました。技術者の平均年齢も75歳を過ぎたとお聞きします。そんな中で、神戸の佐伯先生が先日の読売新聞で、後継者を育てているお姿が、紹介されていました。香川の高松先生は、若い人を身近に置いて育てていると、お聞きしています。先生方も、決して工員にさせる為に、若い人達を身近に置き、守り育てているとは思えません。一人の立派な洋服職人に育ってほしいと、汗を流していると思います。
紳士服業界で生きてきたお一人お一人が、この業界に感謝し、紳士注文服業界で若者達が育ってほしいとの想いは、変わらないと思います。しかし、工場縫製が主流となってしまった紳士服業界で、未来ある若者達が、一人縫い職人として生きてゆくのは、不可能と思えるかもしれません。はたしてそうでしょうか。
私達年代までは、技術者仲間での切磋琢磨で、良い仕事を目指してきました。それは、一人縫い職人も各工場も同じく、製品の向上を目指して仕事をしてきました。職人の仕事も工場生産の製品も、素晴らしい製品が仕上がるよう努力しました。しかし、一人縫い職人の高齢化と同じく、工場の熟練技術者もリタイヤしています。主流となった工場生産の製品でありながら、熟練技術者が少なくなるに連れ、劣化した製品になりつつあります。今こそ、熟練技術者が後世に経験と知恵を伝え育てない限り、一人縫い職人だけでなく工員の仕事も無くなり、マシンオンリーの生産で賄う事になります。
「後継者育成には、お金と時間が必要だ!」これは、他業種共にする現場の声です。「政治家には政治家の、官僚には官僚の、自治体には自治体の、団体には団体の、個人には個人の、そして本人として」、後継者を守り育てるために、やるべき事があると思うのです。
「ものづくり」は、日本文化です。「後継者育成」は、日本人の使命です。
『検定制度の現状』 事の発端は、平成19年、総務省の規正改革によって人数枠が設定されました。厚労省は、経費削減の名のもとに、平成20年から「技能検定職種の統廃合等に関する検討会」として有識者会議が行われ、職種の新設と一試験の申請者が100人満たない職種の、統廃合が検討実行されています。
平成24年10月14日、川端達夫総務大臣より、小宮山洋子厚労大臣へ『検査結果、資格認定等に係わる利用者の負担軽減に関する調査の結果』(勧告)が出されています。
「検査検定、資格認定等に係る利用者の負担軽減に関する調査結果に基づく勧告」(抄)(平成23年10月 総務省) 3 申請手続の負担軽減等の推進 (2)資格取得要件の緩和等 ⑥受験者数が継続して少なくなっている資格について、その社会的必要性を勘案し、統廃合を検討しているが、更なる見直しを行う余地があると考えられるものや、試験事業の効率化を図る観点から、類以するとみられる他の資格との共通化を行うことなどについて検討を行う必要があると考えられるもの(技能士等4制度)  【所見】したがって、関係府省は、検査検定制度及び資格制度に係る申請手続きの負担軽減等を推進する観点から、以下の処置を講ずる必要がある。  
(2)資格取得要件の緩和等  ⑥ 受験者数が少なくなっている資格について、その必要性等を再度検討し、廃止、類以する他の資格との統合等を含めその在り方を見直すこと。(厚生労働省) 以上、厳しい勧告です。
紳士服職種も平成24年に検討されました。M委員「紳士服で、注文服の製作作業がほとんどこんなに少ない。それは、カメラが現像からコンピューターになったデジカメに変わったように、もしかしたらこの世界はパソコンでやっている世界なのに試験は未だに古いタイプでということであるとすれば、試験制度が実態に合っていない。あるいは、そういった受検者のニーズがないのは、どこかそういう原因があるのではないかということで、単に廃止だけではなくて中身というか試験を変えるとニーズがあるのかもしれない。なので、やめるか統合ということではなくて、そこのところを職種の中で、もっと現場の実態、あるいはニーズとか、企業はどうしているかという調査をしてもらって、見直しというようなこともあってもいい。」能力評価課長「技能検定を簡単にその数字だけでつぶすというよりも、業界の取り組みも促しながら、また一方で本当にその作業が現場のニーズとしてマッチしているのか、単純に言葉や何かだけの見直しに終始してきたのではないか。使われるもの、あるいは世の中に役に立つものという観点で、こういった1つの基準を示しつつ見直していきたいということですので、少しそのあたりは専門調査委員会の中できちんと反映できるような形で検討体制のあたりを修文させていただいて、またお諮り申し上げたいと思います。」第10回技能検定職種の統廃合等に関する検討会(議事録)より
私が、必死に探し求めた資料の中に記されていた文面です。決して、血も涙もない有識者検討会では無いように思います。  しかし、総務大臣の【勧告】を受け、粛粛と進められている厚労省の職種統廃合のスケジュールは、大変厳しい現実があります。
現在の、技能検定紳士服製造職種は、紳士注文服製作作業・紳士既製服型紙製作作業・紳士既製服縫製作業・紳士既既製服製造作業(基礎1級)と4作業に別れています。平成27年度後期に紳士既成服型紙製作作業・紳士既製服縫製作業の最終試験が行われます。この二つの作業は、平成28年度に統合され紳士既製服製造作業と名称が変わり、旧紳士既製服製造作業(基礎1級)とこの2作業は、今後の試験実施が決まっています。
一方、紳士注文服製作作業は、休止中です。休止が10年続くと、廃止の対象になります。平成22年は、紳士注文服製造試験が行われた年です。このまま休止が続くと、平成32年には、廃止が告げられます。
一個人、一業界で、国の決定を覆す事は出来ません。紳士注文服業界で、その人数枠の達成(3年ごとの試験実施で40人)は不可能と、全服連の先生方は、判断しました。その上での「社内検定制度」です。
全服連総会では、安積理事長よりご提示いただいた内容に、全服連の先生方は、充実した社内検定の推進で一致したと伺っています。私は、充実した社内検定制度が若い技術者の皆さんも賛同し、紳士服業界が一丸となれるなら、潔く技能検定は諦めます。しかし、私は、大阪技連会・大阪職能開協会・中央職能開協会・厚労省職能開発局能力開発課に電話をし、「職種人数枠の統廃合は、相ならぬ!」との、想いを強く訴えました。
本日は、肝心要の紳士注文服業界の皆様方に訴えます。私の想いも、この会が最後となるのか、問いかけます。技能検定試験は、諦めた瞬間に、最終試験で終了します。
若い技術者の皆様、諸先輩の皆様、皆様お一人お一人のご意見こそが、検定制度の分岐点となる事を自覚いただき、大いに意見交換の場となります事を、切に願っています。

 私は、必死に望みを叶える手段を求めています。
総務省のホームページから、探し出しました。規正改革の意見募集です。私は、技能検定職種・人数枠基準統廃合の改めを、お願いしたいです。

 総務省ホームページより
 行政改革推進本部規制改革委員会では、規制緩和・規制改革に関する国民の皆さまからの意見を随時募集しております。
 規制緩和・規制改革すべきという具体的な意見がありましたら、下記の宛て先まで、電子メール・郵便・FAXでお寄せください。
→〔参考〕規制緩和3か年計画(再改定)
宛て先はこちら
電子メール: kisei@soumu.go.jp

郵   便: 〒100-8926
千代田区霞が関2−1−2(総務省行政管理局内)
行政改革推進本部規制改革委員会事務室 あて
F A X: 03-5253-5350

☆平成19年の規正改革によって人数枠が設定されました。厚労省は、経費削減の名のもとに、平成20年から「技能検定職種の統廃合等に関する検討会」有識者会議も、7年が経過しました。これまで実行されてきた結果のメリット・デメリットの検証が行われても良い頃と思います。紳士注文服製造職種・技能検定が廃止される前に、今一度の懇願で国の方針変更は叶わないでしょうか。サービス業と、ものづくりの技能士制度は、条件の区別が必要と考えます。国家資格の意味付けが、問われていると思います。    大阪洋服同志会・大阪洋服技能士会会員 杉山一郎