現場の声は、届かないのでしょうか。

1『検定制度の現状』 事の発端は、平成19年、総務省の規正改革によって人数枠が設定されました。厚労省は、経費削減の名のもとに、平成20年から「技能検定職種の統廃合等に関する検討会」として有識者会議が行われ、職種の新設と一試験の申請者が100人満たない職種の、統廃合が検討実行されています。  紳士服職種も、平成24年に検討されました。
 M委員「紳士服で、注文服の製作作業がほとんどこんなに少ない。それは、カメラが現像からコンピューターになったデジカメに変わったように、もしかしたらこの世界はパソコンでやっている世界なのに試験は未だに古いタイプでということであるとすれば、試験制度が実態に合っていない。あるいは、そういった受検者のニーズがないのは、どこかそういう原因があるのではないかということで、単に廃止だけではなくて中身というか試験を変えるとニーズがあるのかもしれない。なので、やめるか統合ということではなくて、そこのところを職種の中で、もっと現場の実態、あるいはニーズとか、企業はどうしているかという調査をしてもらって、見直しというようなこともあってもいい。」
 能力評価課長「技能検定を簡単にその数字だけでつぶすというよりも、業界の取り組みも促しながら、また一方で本当にその作業が現場のニーズとしてマッチしているのか、単純に言葉や何かだけの見直しに終始してきたのではないか。使われるもの、あるいは世の中に役に立つものという観点で、こういった1つの基準を示しつつ見直していきたいということですので、少しそのあたりは専門調査委員会の中できちんと反映できるような形で検討体制のあたりを修文させていただいて、またお諮り申し上げたいと思います。」第10回技能検定職種の統廃合等に関する検討会(議事録)より
 平成24年10月14日、川端達夫総務大臣より、小宮山洋子厚労大臣へ『検査結果、資格認定等に係わる利用者の負担軽減に関する調査の結果』(勧告)が出されています。
「検査検定、資格認定等に係る利用者の負担軽減に関する調査結果に基づく勧告」(抄)(平成23年10月 総務省) 3 申請手続の負担軽減等の推進 (2)資格取得要件の緩和等 ⑥受験者数が継続して少なくなっている資格について、その社会的必要性を勘案し、統廃合を検討しているが、更なる見直しを行う余地があると考えられるものや、試験事業の効率化を図る観点から、類以するとみられる他の資格との共通化を行うことなどについて検討を行う必要があると考えられるもの(技能士等4制度)  【所見】したがって、関係府省は、検査検定制度及び資格制度に係る申請手続きの負担軽減等を推進する観点から、以下の処置を講ずる必要がある。  
(2)資格取得要件の緩和等  ⑥ 受験者数が少なくなっている資格について、その必要性等を再度検討し、廃止、類以する他の資格との統合等を含めその在り方を見直すこと。(厚生労働省) 以上、厳しい勧告です。
 
 私が、必死に探し求めた資料の中に記されていた文面です。決して、血も涙もない有識者検討会では無いように思います。しかし、紳士注文服の現場を知らない検討会の内容です。「企業はどうしているのか調査」・・・全服連の先生方は、どのようなご説明をされたのでしょうか。 コンピューターや企業の生産と、手仕事の製品の区別が、検討会にはありません。紳士注文服製造は、身体で覚える作業です。一長一短に人材を輩出できる職種ではありません。
 現場の声が届かぬまま、粛粛と進められる厚労省の職種統廃合スケジュールには、大変厳しい現実があります