綺麗・丈夫・柔らかい
私たちは、「仕事」と言う名のもとで、技術や営業の修業をしています。
経営者も従業員も同じく修業の立場は、変わりません。
明日の事は、誰も分からないのですから・・・
ただ、人によって環境によって、感性も手法も、違ってきます。
私は、仕事場の環境から、沢山の製品を目にします。
手穴だけでも、特徴があります。
流れ作業の工場縫製も一人縫い職人の縫製も、それぞれに魅力があります。
それぞれに、修業あっての製品ですから、魅力があります。
同じ感性の穴はありません。
分業縫製の手穴です。(穴専門の技術者の手穴です)(イタリーのインポート物です)
日本の一着縫い職人さんの手穴です。(職人さんによって、形に特徴が出ます)
日本の分業縫製の手穴です。(ポンチによって、丸の大きさが変わります)
それぞれに、指導を受けたり、工夫の積み重ねで、自分の穴の形が表れます。
職人の仕事を見ていると、穴かがりを見れば、「誰が縫ったか一目で分かる」と言います。
マイスターファクトリー教室でも、日課として手穴をかがっている生徒さんがいます。
毎日、手に感覚として覚えることで、穴の形が良くなります。
綺麗・丈夫・柔らかい、三拍子そろった穴かがりは、心の修業です。
一人前の職人になるまでには、時間とお金が必要です。
でも、社会環境は、
「安くて・・・いい物を・・・」「もう・・・プロパーでは買えないよ」
消費者・経営者の皆さんが思っている限り、私たち職人の苦労は報われません。
若い技能者も育てる事は、出来ません。
プロパー価格が、生産者の適正価格だと見極められる、小売店経営者・消費者が多くなる事を期待して、若い技術者に本物の仕立てを、伝え残す努力を続けます。