「締める」「叩く」「殺す」

URL: http://blogs.yahoo.co.jp/arutizan2010/6891607.html

先日、「締める」「叩く」「殺す」 そして 「寝かす」との、職人言葉を、ご紹介しましたが、
解りやすい写真が無いか探してみましたが、適当な写真が見つかりません。


「芯据え」前の、フロント処理をイメージしています。

「アームホールを締めて」「テープをミシンで叩き」「地の目を整え殺します」 後、アイロン熱を冷ますため、台の上に2時間以上は、寝かします。

ウールは、生き物ですから、蒸気で伸び、熱で縮みます。

アイロン処理は、ウールの伸び縮みを繰り返し、落ち着かせます。

ジャジャ馬を、馴らすみたいなものです。

新しい生地ほど、伸縮が激しく、ビンテージ生地になると落ち着いているので、まさに「生き物」です。

生地は、殺しても、死にません。

パッカリング、つまり、日本人が嫌いな「ピリ」は、「締め殺す」コロした生地の、復活です。
キョンシーです。)

「ピリ」は、生地が生きている「証」なのです。

湿度の高い日本は、「ピリ」の出やすい環境なのです。

太陽の下でカラッとした空気になると、ウールが縮み「ピリ」は解消します。

「ピリ」を嫌がる、お客様のために、ウールの伸縮を抑える工夫が「接着芯」を使う方法です。

確かに、仕上がりは綺麗ですが、ウールの息の根を止めることになります。

しなやかな素材も、しなやかなシルエットには、なりません。

接着芯も改良され、接着されているのが分からないほど、薄くなりました。

どんなに薄い接着芯も、接着した瞬間、素材は「板」になります。

バイアスに伸びないために、モッコリシルエットになります。

私は、生地の性質を活かす「縫製」を、考え工夫します。

モッコリシルエット」が、嫌いだからです。

「ピリが嫌い」な人は、多いので、「接着芯なし」の縫製は、難しいこととなります。

勉強あるのみです。

「締める」「叩く」「殺す」の、説明になったでしょうか。
(持論を述べただけのような・・・)

締める=縮める

叩く=ミシンで縫う

殺す=アイロンで縮め、地の目を整える

寝かす=時間をおく