100㌫手縫いで掴んだことがあります。(催し・製作は以前の話です)



クラシコ・イタリアに刺激されて、ジャケットを100㌫手縫いで完成させてみようと思いつきました。

マリオ・ルビナッチの技術者に会場で質問しました。
私 「なぜ、手縫いなのですか?」「50年前も、ミシンはありますが・・・」

技術者 「素材を殺さないためです」(うぅ〜ん、なるほど! 高級きものは、今でも手縫いですね) 「でも、今のジャケットは100㌫手縫いは殆どありません」
「技術者がいません」

技術者 「仮縫いも、3回以上は合わせます」「肩周りが一番大切です」

技術者の「素材を殺さないため」が妙に心に残ったのでした。

イタリーの「感性」と、日本の「繊細」は、それぞれの魅力では無いのかと思いました。

繊細なオール100㌫ジャケット・・・  芯づくり・ポケット・身返し・穴まで、全て手縫い(グシ・返し針・ホシ・マツリ・チドリ・・・)で縫い上げる事を目指し完成しました。仕事休みの4ヶ月を費やしたのも仕方の無い挑戦でした。

肩入れ工程です。

そして、完成です。

全て手縫いで完成しました。

イタリーの感性とは違った仕上がりです。ハンガーに、いつまで吊るしてもピリが出ません。カシミアの手触りは、ミシン縫いとは確かに違います。

ただ、商品化は出来ません。
〇〇 「いくら払ったら縫ってくれる?」

私 「いくらいただいても、100㌫手縫いは、もう縫えません」(根気が必要な試みでした)

100㌫手縫いで仕上げることで、ハンドが勝る縫い方と、ミシンが勝る縫い箇所があることが分かりました。


魅力へ向って、まだまだ勉強です。