肩書き

私は、一級技能検定試験を受けたのは、25歳の頃だったと思います。一級を勧めて頂いたのは、洋服業界の人ではありません。「取得していても、損はないよ」「将来役に立つから・・・」と、大阪府でお世話になった職員さんから勧めていただきました。63歳と70歳になりましたが、今もお付き合い頂いています。

国家資格や技能競技会、そして、いろいろな表彰は、資格取得が技術者待遇向上の試みとしてつくられていました。

当時は「肩書きは、必要ない」「仕事の良し悪しは、腕がものをいう」と、一級資格に興味を示す職人さんは、少なかったです。腕が良ければ、仕事が集まり生活も楽になりました。職人さん達も沢山いて、仕事も勉強会も沢山あった時代です。

一級資格を取得するも、生活が変わる事はありませんでした。腕を磨かない限り仕事は取れないし、早く綺麗な仕事をしないと、生活は豊かになりません。でも、結婚して家庭が有った訳でもなく、仕事で稼いだお金は、趣味に消えてゆきました。生活のための技術職が、楽しい訳ありませんでした。黙々と仕事をしていても、自分の技術レベルは分かりません。「勉強しなさい」と、店の主人に勧められ入会していた大阪洋服同志会も、サボってばかりです。

そんな中で、月例会に久しぶりに出席しました。たまたま参加した例会で、素晴らしい作品を目にしました。技能グランプリ一位に輝いた、松岡義和氏の作品でした。人体にフィットしてバランスも良く、素晴らしい作品でした。

「私もこんな作品つくりたい!」「腕を試したい!」心に湧きあがりました。「どうすればグランプリに出られますか?」口より先に言葉が出てきました。「一級資格があれば、出られるよ」と教えて頂き「私、もってます!」「ならば、出られるよ!」と、先輩の皆さんは、応援してくれました。天にも昇る気持ちになりました。

衝動的に行動するのは、いつもの事です。後から思うと、怖さ半分、怖さ半分、怖さしかありません。それが、私の人生です。長崎の平戸島から大阪の大都会へ出て来た時も、怖さしかありませんでした。怖さに勝てたのは、若さと熱い情熱と未来への希望があったからです。

話は反れましたが、一級資格が役に立つ事を申し上げたかったのです。会社へ提出する履歴書の肩書も、大変有効でした。

その資格が、危機に迫っています。私達を応援してくれた先輩達のご恩を忘れず、27日は、ただただ、復帰をお願いしてきます。

http://blogs.yahoo.co.jp/arutizan2010/13554497.html