一針の積み重ね・・・

自分の想いが通じ無い時・・・私は、逃げようと思いました。(昨日です)

言い訳はしたくないから、縫うのはやめようと思いました。

サラリーマン職人は、卒業しようと思いました。

私は、どんなに努力しても完璧は無いと思っているし、精一杯の完成も、ケチをつけるなら、幾らでも言えるのです。

ケチをつけられる、弱い服もいけないとも思いました。


でも、今日は、お客様が袖を通し、納まりました。

「良くて当たり前」が現実となりましたが、私は、一針一針に責任を持って進めてきました。

一枚の服が完成するまでには、コツコツ費やす見えない時間が必要でした。

私の想いが、誰かには通じませんでしたが、私は、逃げずに戦う事に決めました。

決して、誰かと戦うのではありません。

自分と戦い勝利して、「どうだ!」と言える、強い服を完成させます。

今日から、同じお客様の、同じ生地の色違いのジャケット縫製です。

薄く柔らかいカシミアの生地を、どのように形にするのか、見えない時間を有効に使います。

スプレーをすれば浮き、アイロンで沈み・・・


やっかいな生地は、殺して寝かすが一番!


職人サラリーマンの日常も、浮き沈みです。

「ものづくり」は、携わる立場で想いも変わると言う事を、つくづく思い知らされました。

「ものづくり」は、瞬時に現れるデジタルの世界では無く、一針を重ねる時間から、尊い形として現れます。

「もの」に携わる人が、心一つになる事を、願っています。