私には、まだまだ、努力が足りません


昨日の続きです。


一面を割いて、8月7日の夏期講習会を採りあげていただきました。


第107回夏期技術講習会(大阪洋服同志会)が、大きく採り上げていただきました。
「技能アイデア」をテーマに、昨年の「芯づくり」の詳しい説明をいていただいた八尋真紀さん、マイスターファクトリーの皆さんと一緒に、講習会をやり終えたことに、私は、満足と充実感を覚えます。

講習会は、集合人数は少なくとも、自主的に興味のある人が、貴重な時間を割いてお集まりいただきました。
他業界や、若い方に来ていただいた事は、3カ月の準備が報われた気分です。

「服づくり」が、人の手と工夫で、つくられる「もの」と、流れ作業の「のも」の違いが、少しでもお伝え出来たなら、良かったのですが・・・

如何でしょうか?
心を込めて、製作される「もの」が、お伝え出来たでしょうか?

私は、半年前の骨折が、体力の衰えとしてあることを、知りました。
立ち仕事の辛さが、身にしみました。(骨折以後、座り作業で賄えていたのです)
予定時間より、30分も早く仕上がったのは、私のギリギリの選択で、作業を進めた結果でした。(当日の、体力の限界でした)

遠い所(滋賀・京都・神戸)から、来ていただいたお方や、他業種のお方、若い皆さん、皆さんで勉強いただいた一日でしたが、失礼は無かったか気になるところですが、精一杯をお受け取り頂きお許しください。

紙面を見て、あらためて皆様に、心から感謝いたします。

「服づくりは削ぎ落とす作業!」紙面の文章を、ご紹介します。

「服づくりは、削ぎ落とす作業です」
よくよく考えて、たどり着いた結論が「服づくりは、削ぎ落す作業」でした。
さっそく、ある人に「・・・削ぎ落とす作業」と言うと、「写真の世界でも、その言葉はあるよ」と返されました。確かに、彫刻も丸い木を削るし、金物も鉄棒を削ると、形が表れる。写真も目の前の広い視野から、小さな一枚の写真として記録されるのです。
本当に、服づくりも、削ぎ落とす作業でしょうか?
私は、こう考えます。胸ボリューム・肩甲骨・前肩・・・、服は、立体であるから、格好良く着やすくなると考えます。では、胸を高くする・肩甲骨を高くするのでしょうか?  
私は、違うと思います。つまり、一番高いところが「ゼロ」なのです。服づくりは、削ぎ落とす作業を繰り返すことで、立体となっていくのです。
① 一枚の平面をパーツに分ける(パターン)②各パーツを形づくる(縫製)③パーツを組み合わせる(縫製)ことが、この作業を、削ぎ落とされる過程と考えるなら、ダーツやイセで締める意味が、分かりやすいと思います。
高い肩甲骨や胸のボリュームは、周りを締めます。首の上りや前肩は、前肩ポイントを締めることで、谷をつくります。決して伸ばす個所は無いのです。
締めることで立体にする作業は、仕事としては難しい作業になります。間違えばピリとして表れます。ピリではなく、張りとして活かされた時、平面が立体となって着やすく綺麗な形になります。

「服づくりは、移動させる作業です」
写真や彫刻と違い、縦横糸で織られた生地ですから、動く素材です。クセ取りによって、山と谷を移動させます。正しく移動しているか立体になっているかを、見極める目安が、地の目です。移動させる作業は、バイアスを活かします。斜めに引っ張ると山が出来ます。
その山を潰すことで、山が移動するのです。バイアスを利用し移動させる作業が、クセ取りです。

「削ぎ落とす」「移動させる」2つの作業を見極める術は、地の目の確認です。「縦横直線=平面」「縦横いずれか曲線・直線=立体」「縦横曲線=歪み」として、必ず表れます。肩周りは横曲線・縦直線です。ウエストラインは横直線・縦曲線になります。肩甲骨の高さが出ている仕事は、横曲線・縦直線になっています。前肩になっている肩線も縦地の目は直線です。どちらも曲線になっているときは、どこかが伸びていますから、地の目を正すことで立体に修整が出来ます。

正しい地の目を見極める術は、日ごろの経験と向上心から、カン・クセ・コツの技能を身につけることではないでしょうか。

一人縫いと流れ作業の製品は、大きく違います。
手ホシ・本開き・お台場など、手縫いを見せる作業は、単なる手間です。手間は、流れ作業の初心者でも十分です。
技能は、見えないところに、時間が使われます。
技能の究極は、シンプル・イズ・ベスト、見せなくとも、触れば分かる、袖を通せば分かる製品です。
消費者の皆さんも、本物を見極めるカンが必要です。雑誌の蘊蓄と自分自身の経験で、どちらが勝るのか・・・

若い人を本物に育てる努力は、一般消費者へ本物を伝える努力が必要です。
私には、まだまだ、努力が足りません。