価値観の変化に負けません。技術立国ですから・・・
私たちは、間違っていたのでしょうか・・・
私たちは、勉強しながら生きてきました。
決して、楽しい事ばかりではありませんでした。
血が逆流するような、失敗もしました。
それでも、洋服職人として、必死に家族を支え生活してきました。
日本の仕立て職人で、生きてきました。
(10年前の、大阪洋服同志会・例会の風景です)
私たちは、プロですから、お客様に喜んでいただきたいがための、勉強でした。
しかし、10年の歳月は、洋服業界にとって、大きな曲がり角でした。
洋服だけでなく、「ものづくり」業界にとって、勉強の質が違う社会になってしまったと思います。
お客様に 「悪いものは、着せられない」 のが、私たち年代の考えかたです。
お客様も、良い服・悪い服が、私たちと同じくするものが、ありました。
良い仕立ては、お客様も分かっていただき、喜んで袖を通していただきました。
肩の収まりが良いと、ジャケットが楽で軽く感じるのです。
楽な服は、見ると分かります。
肩線が波打つのは、肩先が閊(つか)えている、証拠です。
肩先が閊える服は、窮屈で重く感じます。
でも、窮屈感は、タイトだから・・・、重さも手に持つと軽いので、クレームにならないとしか、思えません。
今の、お客様の価値観は、着心地よりも、デザインでありパーツの変化に、満足をするのでしょうか。
私たちの言う 「悪い服」 とは、着難い服であり、着崩れる服です。
台芯にウールやバスを使うと、重くなります。
裏付属も天然素材を多く使うほどに、重くなります。
肩線を崩れないようにするには、肩周りをしっかり仕立てないといけません。
私個人の考える 「良い服」 とは、デザインはシンプル、素材は天然重視、仕立ては、ウエスト以上がしっかりした縫製、数箇所を締めることで立体にする縫製が 「着やすく形崩れしない服」 つまり 「良い服」 となります。
バランスのとれたパターンと、人体にマッチしたデザイン、そして、立体縫製の、仕上がりであるならば、お客様には、決して 「重くて硬い服」 とは言われないと思います。
戦後の、日本紳士服業界は、オーダーからレディーメードへと移行しました。
「ものづくり」業界が、大量生産へと移行しました。
その中で、紳士服オーダー業界は、勉強会を続けてきました。
私は、若い人たちの要請で、仕立ての講師を一年間務めます。
必死に守ってきた技能を、見ていただきます。
5月8日(火曜)から始まる、勉強会で、見ていただきます。
私の思う 「良い服」 が、若い人たちに通じるのか、真剣に伝えます。