生甲斐
45年前、洋服職人になるために都会に出て、生活する上で、楽しかったり辛かったり・・・
もっと、楽で儲かる仕事が有るのなら、いつでも転職できる・・・そんな気持ちで洋服に携わってきた私に、洋服文化論はありません。 (でした。)
洋服職人として、がむしゃらに服を縫い続けていました。(楽しみとしては、趣味がありました。)(洋服を勉強しても、客は取れんと言う教えもありました。)
ただ、 「技術も大事、文化も大事」 というお言葉は、心から離れませんでした。
「先生、私も洋服の文化を勉強したいのですが、何処へ行けば・・・」
教えを乞うよりも、身近に服装が有る事に気づきました。(服の魅力を知ったのは、百貨店へ勤めるようになってからです。)
通勤時に行き交う人、ショーウインドー のマネキンはスポットライトを浴びて輝いていました。
店頭では、お客様が笑顔で服を選んでいました。
本屋には、ファッション誌が沢山並んでいました。
古書店には、掘り出し物の本が有りました。
図書館へ行くと、ファッションのコーナーもあります。
そうなのです。
身近に服の魅力を教えてくれる環境は、沢山有ったのです。
服づくりを生活の糧にしているだけで、洋服文化に興味が無かっただけなのです。
それからというもの、興味のある月刊誌(ドルソ・ジェントリー)は、欠かさず購入しました。
古書店では、服飾辞書等々、本の重さで我が家が潰れると、妻に怒られる始末です。
京都国立近代美術館や神戸ファッション美術館へも足を運びました。
神戸ファッション美術館へは、オール100パーセントジャケットも持って行き見て触っていただきました。
洋服職人として、洋服を取り巻く素晴らしさを、知れば知るほど何かを発信したいと思いました。
洋服職人ですが、洋服が大好きです。
洋服に携わる仕事を目指す若者達と、同じ スタートライン に立つ事が出来ました。 (若者と同じだけの夢もあります。)
私には、もう少ししか時間はありませんが、何度も挫折を繰り返した後の「洋服が大好き!」 と叫ぶ気持ちは、強いです。
私の経験を伝えることで、もっともっと洋服が好きになって欲しい。
そんな気持ちで発信します。
これからも、よろしくお願いいたします。