表紙の写真 (その1)

表紙の写真はハンド100パーセント、私が製作(縫製)しました。

完成したジャケットを見ても、手縫いとミシンの違いは全く分かりませんよね。
そうなんです!   見て分からない。それが結果として狙い目になりました。

私は洋服職人として45年生きてきました。もうじき60歳です(8月11日誕生日)。

ハンドメード・オールハンドと証する商品は巷に溢れています。穴かがり・本開き・お台場・星・・・私が見るに殆どがハンドを見せるために、手間隙かけています。

私が服を製作(縫製)する上で重要な順番を付けるとしたら、①肩入れ・衿付け・袖付け ②芯作り ③パーツ作り(フロント・背・袖)となるでしょうか。

製作において何を重要視するかですが、これも順番を付けると ①着心地 ②型崩れ③シルエット ④見栄え になります。 

穴かがり等は④見栄えになりますから、私はあまり重要視しません。

シンプル イズ ベスト 私はあまりコテコテデザイン縫製は好みません。

着心地が良くて型崩れがしない、見た目で言えばシルエットでしょうか。

私は洋服仕立て職人ですから、デザイン等はカッターの仕事になります。

話は戻りますが、ミシンを使わずに手縫いでジャケットが出来ないものかと考えたの
は、クラシコ・イタリアの服を見た時です。
ある百貨店のオーダーフェアーで「これはイタリーでは博物館に展示している服です」「触ってはいけません」・・・と係員。

私「イタリーにミシンが無い時代の服ですか?」「ピリピリですね」

係員「ハンドは素材を殺さない為です」「今はもうイタリーでもハンドだけでの縫製は殆どありません」

私「素材を殺さない・・・なるほど和服も手縫いですよね」


それから、丸々手縫いを思い立ち完成させました。3ヶ月の日々が必要となりました(仕事休みに縫製)。

普通ジャケット本縫い仕上げ(ミシン・手縫い)には、40時間〜50時間が必要です。

ミシンを一切使わず完成しました。和服と違いポケットなど切り込みがあるので、大変な迷いと工夫が必要でしたが、完成しました。

(写真の芯は、私がいつも心がけている立体に仕上げた芯です。
フロントを支える大切な役目があります。)